作者:王毓雯
出版社:中国书店
出版日期:2013年8月
ISBN:9784903316321
蔣士銓は、袁枚・趙翼とならび、清代乾隆期を代表する文学者である。蔣士銓の戯曲は、清朝の「文人統制」という束縛の中で、自己の心情を極限まで吐露し表明しようとするものであり、崑曲〈京劇以前,中国の南北で最も流行した演劇〉に最後の息吹をもたらすものであった。本書は、劇作家蔣士銓(1725-1785)の戯曲制作の実態について分析することで、蔣士銓とその戯曲を再評価するものである。従来の研究では「戯曲による社会的教化」という特徴を指摘し、体制側の“忠君忠勤思想”の鼓吹者としての側面が強調されがちであった。そのため、これまで彼の戯曲作品は、専ら「勧善懲悪」という視点から解釈されていた。筆者は、民間信仰と士銓の思想との関係や、揚州の塩商が戯曲制作に与えた影響、乾隆時代の政治、文字獄と戯曲制作といった当時の社会背景・政治環境との関係など、多様な側面から分析を加えることで、蔣士銓の戯曲制作の意義に迫る。
|