作者:藤谷浩悦
出版社:汲古书院
出版日期:2013年6月
ISBN:9784762965074
本書は、1904年から1913年までの湖南省の政治史を対象とする。特に、当該時期において、列国の参入や清朝政府の中央集権政策の実施により、地域社会の規範が大きく動揺する状況の中で、民衆が引き起こした事件に対応して、郷紳が提示した「公議」(輿論)の役割を検討し、更に郷紳「公議」が有効性を失い、官憲、郷紳、民衆の対立が激化する中で、郷紳「公議」が再編され、地方議会の設立が図られる経緯、及び国民統合を図る過程で軍事を優先させる思想が台頭した理由、会党が清朝体制とは異なる別の新しい世界を打ち立てようとして提示した末劫論(終末論)の特徴を考察する。そして、このことによって、「公議」及び末劫論、軍事を優先する思想が二〇世紀初頭の湖南省でどのような役割を果たし、中国近代史においていかに重要な位置を占めたのかを実証的に解明し、あわせて民国初頭の政治を展望しようとするものである。
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